【石炭博物館】“捜検”のおじさん
石炭博物館は、模擬坑道火災によって閉館しております。
⇒4月25日ブログ:夕張市石炭博物館営業開始延期のお知らせ
現在、模擬坑道への注水は止められ、徐々に水位が低下しています。一酸化炭素などガス計測値がどのように変化するのか、注意深く観測が続けられています。応援に来て頂いている道央圏消防隊の人数も、大分少なくなってきました。
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前回のブログで、火災にあった模擬坑道以外の施設は無事であるとご報告しました。
⇒05/02ブログ「地下展示は無事」
では、地下展示と模擬坑道の境目にあった“捜検”はどうなっているのか?…という声が結構寄せられました。
数ある地下展示のマネキンの中で、最もキャラが濃くて人気のあった人形です。
“捜検”の展示場所は、模擬坑道入口とほぼ同じレベルにあるため、04/20朝に水没しました(現在は水位低下によりドライ空間となっています)。
博物館スタッフは、火災発生の4/18夜から4/22まで交替しながら徹夜で火災対応にあたっていましたが、水没直前の4/19夜〜4/20朝は吉岡理事長の宿直当番でした。
午前3時過ぎに、煙が一時的に収まり水没する直前のタイミングを捉えて、理事長の手によって捜検のおじさんを無事避難させています。
その横の「自己捜検」と書かれた鏡も、北炭真谷地鉱から持って来たオリジナルの貴重なものですので、消防隊員の方の手を借りて水没危険性のない地表部へ運び出してありました。
もっとも、長時間、坑内からの黒煙に曝されていたので、おじさんは煤だらけで、メガネは付着した煤でサングラスのようになっいてます。自己捜検の鏡も、煤で鏡面がザラザラに。
再開の日に備えて、このような煤だらけになった展示物の清掃作業の日々が続きます。
●ちなみに“捜検”(そうけん)とは
タバコやマッチ・ライターなど発火物を持って坑内に入ったりしないか、坑内労働に適した服装をしているかどうかを調べるために行う入坑前の検査で、繰込(くりこみ:入坑前の待機所)と立坑・斜坑など坑口の間にあります。
“捜検”という言葉を使うのは、炭鉱以外には刑務所や警察くらいなものです。
自分自身の命にかかわるため、意図して発火物を持って入坑する炭鉱マンなどおらず、ついウッカリを防ぐという意味合いが強いのですが、「これから入坑するぞ、気を引き締めて!」という地上/地下の結界のような場所とも言えます。
実際の炭鉱操業時の“捜検”風景はこちら▼ 写真:齊藤靖則さん(1989年北炭幌内炭鉱)
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